水は胸までしか無かった 💧猩々緋💧
夢と現実の狭間でもがいていたことがある。
夢というより、現実から目をそらす時間だった。
心の均衡を保つためだけに作った、ゴミだらけのパラダイス。
自分の心の中は、価値が決まらないもので埋め尽くされ、
物音ひとつで崩れるような場所だった。
誰かの言葉で揺れ、過去に揺れ、未来に揺れ、
昨日の自分にも揺れる。
昨日の自分が大切と思っていたものも今日は不要。
今日の大切も明日には不要かも。
浅瀬でおぼれている人も、
平気な顔で踏ん張っている人も、
足元が見えなくなったという意味では、
同じ場所に立っている。
自分の物差しを失いかけていた。
「物差しを失う」というのは、自信をなくすことではない。
何を基準に生きればいいのかわからなくなること。
だから、人は外に答えを探す。
「必要としてくれる人」
「愛してくれる人」
「戻ってきてくれる人」
本当は、自分を測る物差しを見失ってしまっただけなのに。
復縁にしがみつく人。
強そうに見えるのに、
「絶対に間違えたくない」と決意して来る人。
一見違うようで、立っている場所は同じ。
人は、弱いから占いに来るのではない。
自分で選びたいからこそ、迷うのだ。
私も、そうだった。
私も、浅瀬でおぼれていた。
だからわかる。
強そうに見える人も、泣いている人も、
立っている場所は案外変わらない。
違うのは、表情だけなのかもしれない。
浅瀬でおぼれている人も、
平気な顔で踏ん張っている人も、
足元が見えなくなったという意味では、
同じ場所に立っている。
今思えば、私は浅瀬でおぼれていたのかもしれない。
水は胸までしかなかった。
立ち上がったら、空気が吸えた。
だから私は、誰かを岸まで運ぶことはできなくても、
立ち上がれる場所を、一緒に探すことはできると思っている。

